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「コンビニ人間」を読んだ

 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 読みました。正確には文藝春秋の9月号を購入して読みました。なかなか自分としては珍しい行動なんだけれど、ネットのあちこちで好評だったので、いっちょ読んでみるかと思ったのでした。

 面白かった。主人公はぶっ飛んだ変人だったけれど、愛おしい存在でした。

 主人公は確かに変人、普通じゃないんだけれど、では「普通」って何なんだと考えた時に「これが普通です」と言える人って実はいないと思うんです。普通っぽい核のような物は確かにあるかもしれないけど*1、その周辺は人それぞれのモヤモヤした普通っぽいモノに覆われていて、そこは一人一人違うんだと思う。

 まずは、私が思う「普通」と一緒に暮らす夫の「普通」は少し違うので、それらをすり合わせるまでにかなり大変な思いをしました。他にも、今まで知り合ってきた友人や、転勤族だったのでそれぞれの地域で子供を通してできた知人達との付き合いでも思うところはあったし、一時期はホームヘルパーとして利用者さんの家で働く事もあったので、各家庭各人それぞれの「普通」を受け止めるのが仕事の第一歩で、それはもう本当に様々でした。

 現代だとネット上でいろんな意見が見えるから、いろんな人の思う「普通」もまた見えやすくなっていて、多種多様な「普通」があることがより分かりやすくなっているとは思います。ただ、まだ若くて生きている時間が短かったり、住んでいる地域から余り出たことがなかったりすると、そういう違いは見えにくいかもしれないけれど。

 そしてまた自分のことに戻るけど、昔の地方の子供だったから、女の子に学問は必要なかったし、女子は高校か近くの短大で学業を終えたら家事手伝いだったり、外で働いたとしても腰かけ程度でよくて、24歳くらいまでに結婚したら仕事を辞めるのが「普通」であたりまえ。ただちょうど過渡期ではあり自分は専門職だったのもあって、20代後半で結婚して子供を産んでからも働く先輩が職場に現れ始めた頃でした。私は夫の仕事の都合もあって出産を機に辞めたけど。

 で、そこから子供を産んで育てて何度も引っ越してと時間と場所が経過するうちに、世の中の常識とか「普通」がどんどん変わっていきました。専業主婦が普通だったのに外で働いていないのはおかしいとか言われるようになった。パソコン通信が始まり、もっと広くインターネットになり、携帯電話を持つ持たないで論争になったのも今は昔、携帯電話はスマホになって、その画面を通して街にポケモンが出現するようになった。

 という流れの中で、自分としても主人公のように「普通」って一体何なのかと常に周りを観察をしていたところがあったかもしれない。そういう意味で、主人公はものすごくぶっ飛んでいるんだけれども、とても近しい存在に感じられるんだと思いました。

*1:主人公は既にこの辺りにズレがあるのでアレなんだけれど