黒い樹海

黒い樹海 (講談社文庫 ま 1-3)

黒い樹海 (講談社文庫 ま 1-3)

 松本清張は今まで読んだことがなかったのだけど、某歴史講座の先生に「これは浜松が出てくる話です」とオススメされたので読んでみました。
 確かに浜松が出てきます。東北旅行をしているはずだった主人公のお姉さんが浜松で貨物列車とバスの衝突事故に遭い亡くなってしまうところから始まります。お姉さんの行き先が弁天島で、今は見る影もないけど当時は有名な観光地だったのですね。
 まあそれは事故なのですがその後に関係者が亡くなっていきます。そのように殺人事件を扱っているのに何故だか全体にお上品でのどかな感じ。昭和33年から35年まで婦人雑誌で連載されてた話らしく、なるほどと思います。主人公は美しき職業婦人なのだけど喋り方がおっとりお上品で、こんな風に喋る人って今は居ないよなあ。でもこんな風に喋れたらいいかも。
 他にも出てくる言葉が「ザラ紙」とか「帳面」とかすごく懐かしかったり、そういえば今ってわら半紙を見る機会って無いなーと思ったり。そして飲酒運転は当たり前だし、あとは主人公の部屋に電話がなくて管理人さんの電話を借りるのだけど、そういえば昔のクラス名簿には電話番号の横に(呼)ってついてる家あったよねと思い出したり。住所や電話番号どころか親の職場もバッチリ載ってたクラス名簿。今はありえないけど。
 それよりなにより新幹線がない時代の話。汽車を使ってるから余計にのどかに感じるのかも。旅情ミステリーというほどではないけど少しだけ当時の旅情を感じられるお話でした。
 ただ、樹海は出てきません。